水飲み鳥

研究紹介

当研究室では、エネルギー利用の高度化を大目標とし、大局的な視点に基づいた動力・エネルギーシステムの熱力学的な特性解析、システム・ダイナミクスと 最適設計・制御に関連する研究を展開し、また、動力・エネルギーシステム内部に見られる多様な熱流動現象を実験と数値シミュレーションの両面から解明し、 要素性能向上とシステム全体の高性能化への方策を探っています。研究テーマはガスタービンなどの熱機関から燃料電池、さらにはそれらを含む分散エネルギー システムにまで広がっており、興味の種は尽きることがありません。

固体酸化物形燃料電池による高効率発電システム

小温度差熱の有効利用

燃料電池

熱流動機器の高性能化

固体酸化物形燃料電池による高効率発電システム

固体酸化物形燃料電池(SOFC=Solid Oxide Fuel Cell)は,600℃〜1000℃という高い作動温度に特徴があり,実用化で先行する固体高分子形燃料電池(PEMFC=Proton Exchange Membrane Fuel Cell)と比較して,発電効率が高く,次世代の燃料電池として実用化が期待されています.

高温作動であることから,白金のような貴金属触媒が不要であり,発電に伴って生じる熱を燃料の改質反応に利用することが可能です.また,排熱により駆動 する熱機関を組み合わせることにより一層の効率向上が可能であるといった利点があります.一方で,セラミックス材料で構成されるため,熱衝撃を避けるため に昇温に時間を要し,頻繁な起動/停止を要する用途への適合性が低いといった弱点が指摘されています. SOFC研究は,構成材料に関する基礎的な研究からシステム設計の問題まで多岐に渡ります.当研究室では,発電装置としてのシステム化に関する研究に取り組んでいます.

円筒型セル

<研究テーマ>
SOFC発電システムのダイナミクスと制御
 発電システムには,一定の出力で定常運転されるだけではなく,電力の需要に応じて出力をコントロールすることが求められる場合があります.SOFCのシ ステム設計を考えるとき,運転条件の変化に対するSOFCの動的な挙動を十分に理解した上で適切な制御系を付加することが求められます.SOFCの高い発 電効率を維持しつつ,柔軟な運転制御の機能をもたせるためには,どのようなシステム設計を行う必要があるのか,という問題意識の下でSOFCのモデリング と制御系設計の問題に取り組んでいます.

SOFCと熱機関の組み合わせによるハイブリッド発電のシステム解析
 作動温度が高いというSOFCの利点を生かし,熱機関と組み合わせることによる高効率発電システムの構築に大きな期待が寄せられています.SOFCとガ スタービンを組み合わせたハイブリッドシステムは,原理的には60%を超える発電効率を達成することができるシステムです.さらに蒸気タービンを組み合わ せることにより,70%の発電効率を狙うことができます.このようなシステムの性能予測のシミュレーションを行っています.バイオガスの利用や石炭ガス化 プラントとの組み合わせなどを視野に入れ,高効率発電システムの構築に向けた検討を進めています.

ガスタービンの動特性解析
  SOFCとガスタービンとを組み合わせてハイブリッドシステムを構築するとき,単に物理的に接続すればよいわけではありません。熱力学的に成り立つシステムであっても,適正な作動が可能かどうかの判断を行うためには,SOFCだけでなくガスタービンのダイナミクスに関する知識を欠くことはできません.ガスタービンは,SOFCへの空気供給を担う重要な要素であり,SOFCの制御のためには,ガスタービンの制御を行わなければなりません。そこで,ガスタービンの動特性解析モデルを構築するために,ガスタービンの構成要素のモデル化について検討しています.


メタンの直接内部改質における反応速度
  SOFCの作動温度は,炭化水素燃料の水蒸気改質の温度域に近いためセルで発生する余剰熱を利用して,燃料改質が可能である.これを内部改質といい,燃料側の電極において 改質反応を進行させる方式を直接内部改質という.直接内部改質を利用するSOFCの設計にあたっては,基礎的な資料として水蒸気改質の反応速度式が必要となります.アノード材料が水蒸気改質の触媒としてどのような役割を果たすのか?という問題意識のもとで実験を進めています.


小温度差熱の有効利用

 「小温度差熱」とは,我々が生活する環境の温度との差が小さい熱を意味しています.小温度差熱の例としては,工場などの生産現場で発生する排熱やエン ジン排気の保有熱,太陽熱などの自然エネルギーを挙げることができます.このような温度の低い熱であっても,原理的にはそこから有効な仕事を得ることがで きますが,主に経済的な理由から利用価値がないものと見なされてきました.当研究室では「小温度差熱から仕事への変換効率が高いシステムを開発したい」と いう動機から,作動原理の異なるいくつかのシステムについて,基本的な物理法則から得られる理論的な熱効率を試算に取り組んでいます.これにより「小温度 差熱の利用には,いかなる技術が有望であるか?」という問いに対する答えが得られると期待しています.

<研究テーマ>

自然作動流体を用いた蒸気原動機のサイクル解析と概念設計

 太陽熱や地熱などの自然エネルギーやコージェネレーションにおける原動機の排熱などの温度の低い熱源を利用する蒸気原動機の作動流体の選定 とサイクル構成に関する検討を行っています.さらに,蒸気タービンや熱交換器などの要素設計も考慮しながら,温度の低い熱エネルギーの動力化に適したシス テムの提案に取り組んでいます.



熱磁気エンジンの動作解析

温度に応じて磁気的性質が変化する感温磁性材料を回転体として用い,温度差を与えることで動力を得るエンジンについて検討しています.伝熱と電磁気の2つの現象をカップリングした数値シミュレーションを行い,作動特性の予測を行う手法の構築に取り組んでいます.



熱−音響エネルギー変換を利用した発電デバイスの開発

 管内の気体に温度差を与えると音波が発生する現象が古くから知られています.この音波を機械的あるいは電気的仕事に変換することができれ ば,発電デバイスとして利用することができます.この種の熱と音のエネルギー変換については古くから研究されていますが,その仕組みについては未だ十分に 理解されているとは言えません.熱力学や流体力学の基本法則に基づいてエネルギー変換の仕組みをしっかりと理解した上で,性能予測の手法を確立することを 目標として数値計算や実験に取り組んでいます.

熱音響 熱音響仕組み熱音響

燃料電池

<研究テーマ>

直接エタノール形燃料電池

 バイオマス利用の一形態として発酵によるエタノール製造が実用化され,すでに自動車燃料として普及しています.エタノールは,取り扱いが比較的容易であり,エタノールから直接電力を得ることのできる小型の発電デバイスが実現できれば,可搬電源の燃料としてエタノールを有効利用することが可能となります.しかし,常温近傍で作動する燃料電池におけるエタノールの電気化学的酸化は極めて難しく,現状では著しく性能が低いという問題があります.この問題を解決するために,効率よくエタノールを酸化できる触媒を見いだし,セルの設計・製作の方法を確立することを目標とした基礎的な研究に取り組んでいます.



酵母を用いたバイオ燃料電池

 微生物の呼吸を利用して燃料電池型の発電を行う微生物燃料電池の一つである酵母を用いたバイオ燃料電池の発電特性に関する実験を行っています.燃料としてグルコース(ブドウ糖)を用い,酵母における糖質の代謝の過程から電子を取り出し,電極に放出することで燃料電池のような発電が可能と考えられます. このような発電が成立することを実証するとともに,実用化の可能性を検討するために発電特性を測定する実験を行っています.



熱流動機器の高性能化

<研究テーマ>

小型のターボ機械内部の流動解析

 分散電源として普及しているマイクロガスタービンのような小規模の発電装置で用いられるターボ機械は寸法が小さく,高速で回転することから,大型の機械と比べて効率が低下することが知られています.小型でありながら高い性能を発揮するような圧縮機やタービンを設計するためには,内部流動の予測が重要な課題となります.そこで,強いカーブをもつ曲がり流路が高速で回転する場合の流れの特徴を明らかにするために数値解析に取り組んでいます.





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